角打ちについて(概要)

角打ちの定義

このフォーラムでは、角打ちは酒屋で買った酒をその場で飲むこと、という広辞苑(第七版)などの定義をもとに、角打ちについて書いていく。

角打ちについての誤解・誤用

「角打ち」は、インパクトのあるその語感の勢いもあって、最近よくネット上やマスコミなどで取り上げられるようになってきたが、かなり誤解や誤用されているというのが現実だ。

このフォーラムでは、根拠を示して、「角打ち」にまつわる誤解や誤用を払拭していく。

「角打ち」という言葉は九州北部の方言であるが、その言葉が指している事象(酒屋飲み)は、全国に昔から存在している。

言葉の発祥(語源)とその事象の発祥を混同して「角打ち」を論じるとおかしなことになってしまう。

角打ちと立ち飲み

「角打ち」と「立ち飲み」が指している概念は同じではない。

「角打ち」の舞台は、酒類小売店に限られるが、共通語としての「立ち飲み」の舞台は、必ずしも酒屋とは限らず、飲食店を指していることが多い。

角打ちとは酒類販売の免許を持って酒を売っているところ、つまり、酒店で飲むことである。立ち飲み屋では酒を飲ませることはできても法律上、販売はできない。

「角打ち」という看板を出している立ち飲み店は、酒店ではなく、飲食業や食品販売の許認可をもった飲み屋である。従って、そこで飲むのは角打ちではない。


「うちは飲み屋じゃないよ、酒屋だよ」と言っていた北九州のある角打ち店のおかあさんの言葉が耳の底に残っている。

「角打ち」の語源

いつ頃から「角打ち」という言葉が使われ始めたかを調査・研究した人は、今のところまだ見つかっていない。つまり、角打ちの語源については不明ということである。

「角打ち」という言葉が文献として確実に出てくるのは、私の知る限りでは、明治の終わりから昭和初期頃である。

多くは火野葦平、劉寒吉、岩下俊作など九州北部の作家の作品の中で出てくるが、柳田國男の著書にも出てきている。どれも「角打ち」をする場所は酒を売っている酒屋であり、飲み屋ではないことが分かるように書かれている。

江戸時代の風俗に関する文献もかなり調べたが、まだ「角打ち」という言葉に遭遇していない。

 

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